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小泉八雲の『おしどり』は、夢に現れた女性の訴えを聞いて終わる話ではありません。狩人は翌朝、鳥を射た川辺へ戻り、残された雌の死を目にして、最後に僧になります。
どうして、もう一度その場所へ行く必要があったんだろう?
注目したいのは、狩人が見た夢と、目が覚めてから見たことのつながりです。ここでは英語原文「OSHIDORI」をもとに、結末まで読みます。
雄を射た日の夜、夢の女性は翌朝を指し示す
狩人は、川で一緒に泳ぐおしどりのつがいを見つけます。つがいは、雄と雌の一組のこと。空腹だった狩人は雄を射て持ち帰り、料理します。雌は対岸へ逃げて姿を消しました。
その夜の夢には、夫を奪われたと訴える女性が現れます。女性は深く嘆き、翌朝あの場所へ行けば、自分のしたことが分かると告げます。
ここで残るのは、泣き声だけではなく、翌朝の場所を示す言葉なんだね。
目覚めた狩人は、その言葉を忘れられず、夢に何か意味があるのか確かめようと川辺へ向かいます。夜の出来事が、次の日の行動につながっている。
出典:Project Gutenberg・『Kwaidan』所収「OSHIDORI」
逃げた雌が、今度は狩人のほうへ来る
翌朝、雌は一羽で泳いでいます。狩人に気づくと、今度は逃げず、彼のほうへ近づき、その目の前で命を絶ちます。
前の日には逃げた鳥が、翌朝には向かってくる。この動きの違いを、読み返すときに確かめてみたい。
夢の女性の、夫を失っては生きていけないという訴えと、川辺で起きることが重なって読めます。ただ、本文は女性が鳥へ変身する場面を描いてはいません。語られたことと、そこからつながりを読むことは分けておこう。
最後に書かれるのは、狩人が髪をそり、僧になったという短い結末です。出家は、それまでの暮らしを離れ、仏門に入ること。改心した理由を長い独白で説明せず、彼が生き方を変えたことを一文で示しています。
日本語で読み、ほかの話と並べたいなら
国書刊行会の『怪談』は、ラフカディオ・ハーン著、平井呈一訳、ヤン・シュヴァンクマイエル画の単行本です。出版社の目次に「おしどり」があり、「耳なし芳一のはなし」「雪おんな」なども収められています。オールカラー22点の装画を案内しているので、文字と絵を一緒に読む版を探す人の候補になります。
本の識別番号であるISBNは9784336053480。今回確認した楽天掲載は中古本です。訳者と版、商品の状態を見て選んでね。
読み返すときは、女性が告げた翌朝のことと、川辺へ戻る狩人の行動に印を付けてみよう。短い物語のどこで夜と朝がつながるか。その場所を見つけてから最後の一文へ進むと、出家という結末をもう少し考えられます。